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【林業は事故が多い仕事】山の中で被災者を救助した話

 

間伐作業が終わり着替えをしながら、同僚と明日の段取りを話していると、1本の電話がなった。

知り合いの社長からだった。

 

「うちの従業員が山の中で動けなくなったから助けに来てほしい…」

 

こんにちは、木コリヌスです。

本日は、「山の中で怪我をするとどうなるか」という事を、経験をふまえて書きたいと思います。

非常に痛々しい表現もあるかと思いますが、林業の現実を伝えたいのでご了承ください。

【林業は事故が多い仕事】山の中で被災者を救助した話

 

林業は、非常に事故が多い職種です。

死亡年千人率は、全産業のなかでもダントツの1位です。

林業の事故の特徴は、

事故が頻繁に起こる

事故の重篤度が高い(重症事故が多い)

事故率が高く、1発が大きいので毎年亡くなられる方もいらっしゃいます。
林業の事故については、下記の記事で詳しく解説しています。
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それでは、私が体験した林業の事故の話をしたいとおもいます。

山の中で動けなくなった被災者を助けに行った話

 

知り合いの社長から救助要請を受け、車で10分ほどで現場付近に到着しました。

この現場は、4社が合同で作業をしている現場で、今思えば救助する上ではよかったと思います。

 

到着すると、若い子が誘導員として一人立っていました。

 

私は、「山の中で動けなくなった」と聞いて、心肺停止か足のけがを直感的にさとりました。

 

消防には、救助要請をしたとのこと。

 

車を止めて、誘導員と話をしながら、幅80センチほどの間伐用の径路を登っていきます。

「なんで動けなくなったんですか?」と聞くと、

「足が折れています」との返答。

腕などの骨折の場合は、なんとか歩けるので動けなくなることは少なく、動けなくなる事故は、意識がない場合や足を怪我した場合に多いです。

 

被災した現場が思っていたよりも遠く、誘導員含め5人で息を切らしながら全力で登りました。

 

30分ほど登ったところで、

「この下です」と言われ、下を見ると30mくらい下に男性2名を確認することができました。

被災者の状況

2人のところに駆け寄ると、知り合いの社長と被災した従業員でした。

社長は従業員を抱きしめながら「大丈夫だから安心しろ、みんな助けに来てくれたぞ!」と声をかけています。

 

私が被災者の足に目線をやると……

 

ズボンが真っ赤に染まり、スネのあたりで足が「くの字に変形」していました。

いわゆる、骨が皮膚を突き破って出てきてしまう開放性骨折です。

ふともものあたりでロープが縛ってあり、止血はできていました。

 

とりあえず被災者の体勢が悪く、傾斜30度の斜面に対して横向きになっており、生えてる小さい木につかまって動けない状態でした。

このまま消防を待つか、間伐径路まで上げるか話し合いをしていると、

他の会社の応援も駆け付けたので、被災者を30メートル上の径路まで運ぶことになりました。

腕だけで急傾斜の斜面に耐えている状態だったので、限界がきて腕を離してしまったら、2次災害の可能性もあったからです。

 

細い木を2本用意して、みんな着ている服を脱いで腕の部分に木を通して簡易の担架をつくりました。

「痛いから動かさないで!」と叫んでいましたが、傾斜30度の斜面を転がるほうが危険だと判断し担架に乗せました。

 

しかし、担架が思ったよりも短く折れた足がブラブラと揺れています。

この世のものとは思えない叫び声を上げていましたが、それをかき消すように我々も「頑張れ!」と叫びました。

 

傾斜30度の斜面を担架で移動するのもかなりきつかったです。

10人ほどの人数が集まったのも不幸中の幸いでした。

何とか径路にたどり着き、みんなで声をかけながら消防の救助を待つことになりました。

消防到着

山の事故のこわいところは、消防の救助が来るまでに時間がかかることです。

普通の町では、大体10分くらいで到着しますが、山ではそうはいきません。

山の奥になればなるほど救助までの時間がかかります。

この事故では、通報から到着まで40分かかりました。

 

今回は足の骨折なので、命に関わるほど重篤な事故ではなかったのですが、出血を大量にしている場合などは時間との勝負です。

助けたくても助けられないことがあるのが、山の事故だと思っています。

 

径路にあげてしばらくすると、消防のレスキュー隊が到着しました。

 

折れている患部の応急処置をしながら、レスキューの隊長が、

「お兄さん安心して!必ず家に帰ろう!」と言った言葉は、今でも忘れられません(かっこいい!)

 

救助方法ですが、山の開口部がないのと日没も近くドクターヘリが使えないとのことで、担架搬送になりました。

初めて見たんですが、スキー場で使うソリみたいな担架で、地面を滑らすように搬送していました。

間伐の径路があって本当によかった…。

 

担架が動くたびに、被災者は悲鳴をあげています。

 

「早く救助してやってくれ」と誰もが思っていたと思います。

 

しかし、消防隊もロープとカラビナで安全確保をしながら進むのでかなり遅いのです。

「絶対に谷に落とすなよ」と隊長が叫んでいました。

たしかに、このソリみたいな担架で山を滑り落ちたら……確実に死にますね。

山で怪我をすることの恐ろしさを改めて認識した瞬間でした。

 

そして下ること、なんと2時間半…やっと待機していた救急車と合流し病院へと搬送されました。

この事故で、復職までに半年かかったそうです。

事故の原因

被災者は、同僚3名と間伐作業に従事していました。

そして木を伐倒したのですが、木の先が木と木の間に挟まって「弓なりの状態」になってしまったそうです。(本人は気付かなかった)

ビンビンにテンションがかかった木にチェーンソーの刃を入れた瞬間、木が足に飛んできて激突。

スネをへし折り骨が外に飛び出してしまったという事故でした。

対策

今回の事故を防ぐ方法は2つあったと考えます。

挟まった木のテンションを抜いてから刃を入れる

 木が飛んでこない方向に立つ

木が挟まってしまった先のほうから切り始めて、テンションを抜くのが1番安全だったと思います。
終業前で集中力がなくなっていたというのも原因の1つかもしれません。
疲れてきた時こそ、落ち着いてめんどくさがらないことが大切です。
被災すると自分が痛いだけでなく、多くの人に迷惑をかけることになるので事故を起こさない事が1番です。
とはいえ、分かっていても起きてしまうのが「林業」です。
安全第一で作業しましょう。

山の事故の怖さ

山の事故の怖い所は4つあります。

携帯の電波が悪い

発見が遅れる場合がある

救助まで時間がかかる

助けたくても助けられないことがある

もし今回の事故で、携帯の電波もなく、一人で作業していたらどうなっていたか。
ブラブラの足を引きずって電波のあるところまで這いずっていたのか…考えるだけでぞっとします。
仲間と離れて作業していてけがをして動けなくなった場合、携帯電話で知らせることができればよいですが、電波が入らない時も多々あります。
その場合、けがしたことすら気付いてもらえません。
特に、出血を伴うけがなどは非常に危険です。
必ず2人以上で行動するか、無線機を携帯するなど連絡手段を確保することは本当に大切です。
山の事故は、救助まで時間がかかることがあるので、速やかに消防に救助要請。
指示に従い、応急処置をして救助を待ちましょう。

まとめ

林業は非常に危険な仕事なので、事故を起こさないことが1番大切です。

とはいえ、気を付けていても起きてしまうのが林業の事故です。

常に危険を予測して安全に家に帰りましょう。

 

以上、腕の骨折が治ったばかりの木コリヌスでした。

労災明けたので、注意喚起の記事でした。

 

明日も、ご安全に。

【林業は事故が多い仕事】山の中で被災者を救助した話
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